遺品整理/はじめからないものと思えば。
暖かくなってきたので、母を連れて公園に行く日がふえました。
母はカレンダーみせずとも、毎年4月1日になると春のスイッチが入るようで、
ベッドでの動きもすこしずつ大きくなり、
今月はひさしぶりに右手がよく動いて、食事どきにはお箸を持つ日が増えました。
お箸の持ちかたはとてもきれいですが、
なんとかお箸ではさんだ食べ物を
口まで運ぶことはもうできません。
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父が亡くなって5年。
亡くなってすぐに遺品整理をはじめました。
よくみると祖父母の代のものもすこし残っていて、
両親はものを捨てない世代なので、片付け役はわたしがいただきました (笑 )
ひたすら分類をして、不必要なものを田舎に帰るたびに車の荷台にパンパンに乗せて
ゴミ処理場に何度も通いました。
何度ゴミ処理場に通っても、整理が終わらず、
結局配送業者に下見してもらったあと、
中型トラック10台分くらいになってしまったのですが、
あっという間にあらゆるものを運んでいっていただきました。
ようやく片付いた気持ちになり、
家のほんの一部の改装 DIYをはじめました。
すると、改装する部分からは、
まだ色んなものが出てくるのです。
母はまだ元気なのですが、
母の溜め込んだあらゆるものも気になりはじめました。
母が職業柄集めた料理器具や食器にプラスして、
田舎に嫁いだため、
昔から葬儀の時に人がたくさんきて、
一晩明かしたりするのを想定していたようで、
そのために使う食器を買い込んであったのです。
すっかり葬儀を家でやる時代ではなくなってしまいました。
時代変わるとすべてかわるものです。
わたしたちがなくなる頃には、
葬儀さえなくなる可能性もあるかもしれません。
母がそれぞれの箱ごと名前を書いてしまってある
新しい食器を簡単に捨てる気持ちにはなれずに、
改装中別の部屋にひろげて少しづつ選別をしてみたのですが、
自分がこのむものとはちがいます。
長らくそのままにしておくと、
部屋の整理がすすまず、
気持ちが溜まっていくように感じました。
自分のものであれば簡単に選別できるのですが、
母の思いがこもっていると選別に迷いが生じ、何度も手がとまります。
でも、もうお葬式を家でやる時代ではないので、
こんなにたくさんの食器は必要ありません。
親戚か誰かに声をかければもっていってくれるかもしれませんが、
いつになるかわかりません。
わたしが、この食器をとっておいて使うこともないようにおもい、
迷いに迷ったまま時がすぎました。
不必要になった食器棚や簡易家具も、
なんとか使いまわせないかと思いながら
田舎に帰るたびにながめていました。
旦那さんが、「はじめからないものと思えばいいんじゃない」と
一言いってくれたおかげで
ふんぎりついて、
今回は一歩整理前進。
親の遺品整理を経験しているおかげで、
誰かに引き継げるものって
どんなものだろうと
よく考える時間がふえました。
介護とともに貴重な経験です。

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