家のこと


実家付近を車で通ると空き家がたくさんあります。


私は父が亡くなったときに遺品整理をしたのですが大変でした。

祖父母の残っていたタンスなども処分しました。

旦那さんの車いっぱいに不燃ゴミを積んで、30−40回以上はゴミ処理場に通いましたが、それでもまだ終わりませんでした。結局業者さんのトラック10台くらい来てもらい、ようやく片付きました。

正直言えば、あと軽トラ5台分ぐらいは不要なものが押し入れに残っているので、またいつか処分しようと思います。


父の世代の人たちはとにかく物を捨てずにしまっておく習性があります。父は整理整頓は得意で、部屋の中もきちんとしていました。趣味はハーモニカと将棋という地味で簡素な生活をしていましたが、押し入れや倉庫から、農作業用品や会社でいただいた贈り物や書類、本や服などあらゆる物が溢れかえるようにたくさん出てきました。

遺品の片付けをしてみて、父がどれだけ仕事を頑張ってきたか、頑張って建てた家のこと、父の思いが理解できて泣けました。父には感謝の気持ちしかありません。

遺品整理は平均数百万かかるとも言われていますので、結構な負担です。




空き家の話にもどります。実家の周りには空き家が本当にたくさんあります。子供の頃に素敵だった親戚の家でさえもう空き家です。家を建てても、それを受け継ぐ人がいないのです。

色々なところで問題になっていることでもあるし、都知事選で石丸伸二さんがおっしゃっていたことですが、これから20年くらいすると人口が減って行く。いまの50−60代がその頃高齢者になっています。


田舎に帰ると、街にはほんとうに人が少なく、空家が多く商店街もシャッター通りとなっています。私はこの光景、いつもまるで霊界のようだと感じています。

病院に入院している人も高齢者がほとんどなのだそうです。どこの田舎も同じような光景だと思います。

今この状態なのに、20年後人口が減った時に田舎は一体どうなってる ??

その時の私たちは80歳と想像するだけで、ちょっとすごいことです。



昭和初期世代の方は、家を建てることを夢に一生懸命働いて家を建て、その家に20年、長ければ30年住んで、亡くなってしまいます。そのあと子供が受け継ぐかと思いきや、そううまくは行きません。そして、空き家になりミルミル朽ちて行く。ひどければ、家の中の生活用品は誰も片付けないままになっている家もたくさんあるでしょう。解体や片付けにもお金がかかるとなると、家族がやらなければ、誰もそれをやる人もいないままの空き家状態。

そういう状況を眺めて、もう少し環境全体をみて建築を考えることはできないのだろうかとよく思うようになりました。


例えば、海外には同じような形の家がまとまっていて、景観が洗練されている場所がたくさんありますよね。そういう方法を日本でも考えられないのでしょうか。

その土地土地の風土や気候も踏まえた上で、家のパターンがいくつかあって、家を建てる人はその中からのパターンの組み合わせで家を選ぶ。家の素材も、風土や耐震、あらゆる点から考えられている。そして、後世に受け継がれる予定がないのであれば、20年レンタルとか30年レンタル契約にして、家主がなくなったら、それをリノベーションするとか、壊わすような契約を作っておく。特別に独自で建てたい人は別として。

環境に配慮した上で家のデザインが考えられていると、街並みも整うし、亡くなった時に綺麗に処分されるような契約にしておけば、いつまでもボロボロの朽ちた家がそこら中にあるような環境が少しは整理されるのではないかと。


日本全体の風土にあわせた家屋の建築デザインができる会社があって、そのスタイルも自然と更新されるようにして、それを日本全体の市町村で共有しながら考えられるようにすることは可能なのだろうか。私たちが高齢者になった頃にはそんなこともできるようになっているのでしょうか。


すくなくとも、空き家に多くの遺物を放置したまま旅立たぬよう、できるだけシンプルな生活にしたいと思うのです。


















 

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